高校3年生の春、

「先輩、蒼生(あお)と別れて下さい」

2年生の矢野 充穂(やの みちほ)さんに、言われた。

「え、なんで…?」

矢野さんに問いかけると、

「あたし、蒼生が好きなんです」

びっくりする答えが、返ってきた。

「わたしも蒼生が好きだから、別れられないな…」

「…先輩がその気なら、あたしにも考えがありますから」

矢野さんはそう言うと、踵(きびす)を返した。

翌日の放課後、

「充穂、ヤッてほしいヤツってコイツ?」

矢野さんと数人の男子が来て、無理やりわたしを車に乗せた。