高校2年の秋。

ある日、学校から帰ると、玄関に男物の靴が置いてあった。

居間に入ると、

「お、桃華、おかえり~!」

お父さんがいた。

突然の事に、戸惑うわたしに、

「あんたを引き取りに来たのよ」

お母さんは、軽くお父さんを睨む。

「いいじゃないか。
どうせ桃華は俺に似てるから、ぞんざいに扱ってたんだろ?」

「え…なんで」

「桃華がお前を怯えた目で見てる」

事実なので、何も言えないでいるお母さんに背中を向けて、お父さんは言う。

「父さんな、結婚しているんだけど、相手の人は子どもが出来ない人で、桃華を養女にしたいと言っているんだ」

「桃華、行くの、止めなさい!」

ややヒステリック気味にお母さんは言う。