「ああー…!楽しかったー!!」
「それは何よりでした」
目が覚めた時には自分のベッドにいた。
帰る時も翔平ちゃんがお姫様抱っこして別荘まで連れてきてくれたのかなと、想像するだけで照れてしまう。
身の回りの物を片付けて。
うちから迎えに来てくれた長谷川の運転する車に乗る。
長いようで早かったな…。
窓の外の流れる景色を見る。
「お嬢」
「何?」
「お嬢を送り届けた後、仕事に出かけますね」
翔平ちゃんのその一言で。
浮かれた気持ちが沈んだ。
忘れてた。
そうだった。
わたしと翔平ちゃんがいる世界が普通じゃないこと。
1週間、一緒にいれてずっと幸せで。
こんなことが続くんだって。
……そんなことあるわけないのに。
行かないで。
…行かないで。
行っちゃ嫌だ。
お願い。
行かないで。
あんな危ないこと。
しなくていいじゃん。


