「それじゃあ、行ってきます!」
「「「「行ってらっしゃいませ」」」」
何人もの組員の人が、玄関に出てきてわたしの学校のお見送りをしてくれる。
ひらひらと手を振って黒い車へ乗り込む。
車通学なんて小学生の頃から。
家が家だから、万が一に備えて送り迎えは車。
友達とどこに行くにも、車。
そしてもれなく付き人がついてくる。
こればっかりは仕方ないから諦めてる。
でもわたしの方からも条件を出した。
「それでは行きましょうか」
付き人には、翔平ちゃんを付けること。
「ねーねー、今日の夜ご飯は何?」
「お嬢は何が食べたいですか?」
「うーん…たこ焼き!」
「却下で」
「えー!!!」
学校の行き帰り、他愛もない話を翔平ちゃんとするのが楽しい。
お父さんに言えない相談事も、愚痴も全部翔平ちゃんには話す。
それくらい信用してるし、好きだし。


