袋の口を縛っていた輪ゴムを外して、手首につける。


ふわふわのわたを口に入れる。


その瞬間、口の中の熱で溶けて甘さが広がる。






「おいしー!」






パクパクと食べる様子を翔平ちゃんが優しく見つめる。


翔平ちゃんの口元にわたがしを持っていく。


一瞬目を見開いたけど。


そのまま口を開けた。


そして…2人で笑い合う。


幸せすぎる。






「翔平ちゃん、何食べたい?」


「俺ですか?…そうですね…」


「ねえ、あの男の人かっこよくない?」


「え、どの人どの人?」






少し離れたところから女の人達の声が聞こえる。


ちらっと横を見ると、わたしと同じように浴衣を着た2人組の女の人がこっちを見ていた。


正確には、翔平ちゃんを見ていた。






「あ!ほんとだ!めっちゃかっこいい!」


「浴衣似合いすぎ!和装が似合う男の人ってほんといいよねー!」


「隣にいる子、彼女かな?」