私はちらっと後ろをみる。
わたしと翔平ちゃんの後ろにはズラっと並んだ黒ずくめの組員の人達。
「今日は、翔平ちゃんと2人で行きたいな…」
わざとらしく上目遣いで言ってみる。
きっと翔平ちゃんは顔を赤くして…。
「わかりました、ではそうしましょうか」
顔色ひとつ変えず、笑顔で応じてくれた。
翔平ちゃんは組員の人に、帰るまで別荘の留守番を頼んでいた。
それは出来ないという者もいたが、結局翔平ちゃんの説得にみんなが首を縦に振った。
あれーー…。
翔平ちゃん…全然、照れない…。
こ、こうなったら!!
「お待たせしました、行きましょうか」
「うん…!」
歩き出す翔平ちゃんの左側に立ち、手を握る。
手を握ればきっと照れてくれる!
にやにやしながら顔を上げる。
だけど翔平ちゃんは照れるどころか、余裕の笑みを浮かべながら。


