「耳に水が浸からないように、気をつけてくださいね」
「…うん」
「浮き輪使いますか?バナナ型もありますよ?」
「…うん」
「日焼け止め、こまめに塗ってくださいね」
「…うん」
「好き」
「……うん……え!?」
突然の好きに、翔平ちゃんの方を見る。
「やっとこっち見た」
近づく顔。
ま。
「ままま…!待って!…だめ、無理!!!!!」
恥ずかしすぎて、翔平ちゃんが眩しすぎて。
わたしはプールに逃げ込む。
プールサイドに置いてある浮き輪を、いつの間にかいる組員の人に取ってもらってそれに掴まり浮かぶ。
やだやだやだやだ。
翔平ちゃんが好きとか。
好きとか、無理、無理すぎる。
「……反則だよ…っ」
今まではわたしが言ったって平気な顔してたのに。
わたしだって平気な顔したい。
余裕ぶってみたい。