大人の男性。
無理にでもそれを感じさせた。
近づいてくる顔。
これは…!!!
え、そういう時は、えっと。
目を閉じる!!
ぎゅっと目を閉じてその時を待つ。
……………………。
あれ…?
薄ーく目を開けてみる。
目の前にはわたしをガン見している翔平ちゃん。
「……ちょ!?!?」
「何?」
「え!?今のはキ…」
「キ?何?」
とぼけてる…!
ムカつく。
「お嬢って名前呼ぶとすぐ顔赤くなるね」
「…!……ほっといて」
「呼んでい?」
「絶対いや!!」
翔平ちゃんに名前呼ばれるのはいや!
ほんとに、ほんとにやめて。
だって翔平ちゃんが名前を呼ぶと。
────────…チュッ。
「……………え…?」
広い部屋に響くリップ音。
唇に一瞬感じた、柔らかさと温かさ。


