心の底から安堵の顔を見せる。
屈託のない翔平ちゃんの笑った顔、久しぶりにこんなに近くで見れた…。
胸がトクンと、音を立てる。
「…あの、翔平ちゃん…ここ」
「俺の両親のお墓です。組長が建ててくださったんですよ」
「お父さんが」
「…ここは元は、親父の別荘でした」
お墓を見つめる横顔は…。
切なく、見ていられなくなるほど悲しい顔をしていた。
唇が動く。
「ずっと…怖かった」
「え?」
「この別荘には、親父とか、母さんとか。いろんな思い出があって。16年経っても消えていなくて。お墓参りには毎年、組長と来てたんですけど…どうしても、別荘には近づけなかった」
「…うん」
なんて、答えていいかわからない。
翔平ちゃんの心の中には。
きっと触れてほしくない事がたくさんあって。
でもわたしは…。
わたしの知らない翔平ちゃんが知りたい。


