翔平ちゃんの心臓は、早く鼓動を打っていた。
…探してくれてた。
目に涙が溜まる。
「…翔平ちゃんっ」
「よかった…っ、誰かにまた連れ去られたのかと…ほんとによかった」
「ごめんなさい…」
「謝らないでください」
背中に回された腕に力がこもる。
少し息苦しい。
頭の上で翔平ちゃんの息遣いが荒いのがわかる。
「…翔平ちゃん…苦しい…っ」
「ごめん、もう少し、このままでいさせて」
いつもは敬語の翔平ちゃんが、たまにタメ口を使うと変な感じがする。
胸が、耳がすくずったい。
いつも近くにいる翔平ちゃんが、より近い存在になった気がして。
少しの時間、そうやって抱き締められていた。
翔平ちゃんの呼吸が元のように戻った時。
スっと、体を離す。
「お怪我はないですか?…耳も」
「大丈夫だよ、何ともない」
「よかった…」


