…来て……くれるわけないか。
翔平ちゃんに酷いことばっかりして。
必要な時だけ頼るとか。
最低すぎる。
何も考えず、何となく、風の吹く方へ歩いてみる。
「開けてる」
開けた場所を見つけて、駆け出す。
もしかして戻って来れた?
一瞬、強い風が吹いた。
開けた場所の正体は。
「お墓……?」
色とりどりの花が咲く、お花畑の真ん中に小さくお墓が立てられていた。
どうしてこんな所に…。
真っ直ぐ、長年誰かが踏み歩いて作ったであろう、お墓までの道ができていた。
歩いて、お墓に近づく。
お墓にはまだ新しい花が活けられていた。
墓石には“神崎家乃墓”と、掘られていた。
『あなたの父親、白鷺槍平は、神崎組を壊滅させ、神崎翔平の両親を殺した』
まだ頭の中で鮮明に、声が響く。


