わたしは翔平ちゃんの胸をぐーっと押して部屋の外へと追い出す。
「レディーの着替えを覗くとかありえない!」
「覗いてはないですよ」
「屁理屈はいい!!」
バン!っとわざとらしく扉を閉める。
ほんと…何考えてるの。
そんなことする人じゃないのに。
わたしは扉の方を警戒しながら、白いワンピースに袖を通す。
そばに置いてあった、少しヒールの高い紺色の靴を履いた。
「………終わったよ」
「よくお似合いです」
にこっと微笑む翔平ちゃん。
さっきの事なんてなかったような。
少しムスッと拗ねてみる。
「お疲れでしょう、お茶でも入れましょう」
意地悪そうに笑ってはそう言って歩き出す。
拗ねてるんですけど…わたし。
ふん!っと鼻を鳴らして後ろからついて行こうと足を踏み出した、時。


