「俺で…いいんですか」
「他の変な虫より、お前の方が私も安心だ」
そう言い、笑う。
つられて、頬が緩む。
お互いに笑ったのは久しぶりだった。
「梨瑚の事、頼んだぞ」
「かしこまりました」
白鷺組の若頭として。
…一人の男として。
守りたい。
それじゃ俺は帰る、組長はビニール袋を手に病室を出ていった。
…静かになった病室。
ベッドに近ずき脇においてあった丸椅子に座り、お嬢の顔を覗く。
小さい頃はよく、絵本を読んで寝かしつけてたなと懐かしくなる。
指先で頬を撫でる。
「……翔平ちゃん…」
「起こしてしまいましたか」
くりくりの目を開けて、すぐに俺を見つめる。
…可愛い。
毎日、お嬢を見る度に思っていた。
だから学校で変な男が近づかないか心配。
かと言って、学校の中までもついて行くわけには行かない。


