「はい」


「どうだ?梨瑚は」


「それはどういう意味で?」


「そのままの意味だ。梨瑚のお前への想いはわかり切っていることだろう」


「組長は…どう思われますか」


「うん?」


「お嬢が、死ぬまでこの世界に居ること」






もし仮に。


俺と一緒になることを選んだ場合、お嬢は死ぬまでこの世界に居ることになる。


一般の人を好きになれば。


狙われることもなくなり、平和に普通の日常を送ることができる。


産まれた時から命を狙われるような家系で育ったお嬢にとって、そっちの方が幸せで笑って生きていけるのではないか。


そう、考えてしまう。






「自信がないのか、梨瑚を傍に置いておくことが」


「…ありません、今回のことで思い知りました」


「だが、梨瑚は譲らんだろうな」


「………」


「例え、自分の命が無くなろうと、最後まで好きな奴と一緒に添い遂げたいという思いは、お前も一緒なんじゃないか?」