ピキっと空気が緊張に包まれた。
あれだけ慌ただしくしていた人も、わたしの言葉で静まり返る。
お父さんの…顔が怖い…。
「そ、そうか、梨瑚は翔平と結婚するのか」
笑っているようで笑ってないお父さんの顔。
今思い返せば、翔平ちゃんに怒ってたのかな。
「梨瑚、少し部屋で遊んでなさい」
突然、話題を変えるお父さん。
さっきの話はもうしたくないらしい。
「しょーへーちゃんはー?」
「翔平は少しお父さんの手伝いがあるからな」
「えー」
「いい子に待ってたら芋けんぴ持って行ってやるからな」
「待ってる!!!」
お菓子につられてすぐ手のひら返し。
いい子だと言って、私の頭を撫でるとわたしをおろした。
足早に部屋へ向かうわたしの後ろから男の人が着いてくる。
わたしが部屋に入るのを確認すると扉の前で待機して、部屋から出ないようにする。


