「これはお前が殺した仲間の分」
「やめろ…!」
太ももに刺したナイフを抜く。
ベッタリ着いた血が床に滴り落ちる。
まだ物足りない。
「これは、怪我した仲間の分」
腕めがけて振り下ろす。
何度も。
殺したりなんかしない。
生きたまま、苦痛を与えたい。
「も、やめて…くれ…」
「翔平さん!!」
大輝の声、組員の声。
聞こえているはずなのに、何を言っているのか今の俺には理解できなかった。
「翔平…やめ、て」
命乞いをする大輝にまたがり、耳にナイフを当てる。
最後に、最愛の人の苦痛と不安と悲しみを。
一寸の迷いもなく。


