これが神崎組の生き残りの末路かと思えば、悲しくなる。
こんな、哀れな終わり方なのかと。
あの時、組長に拾ってもらわなければ。
大輝と同じようになっていたかもしれない。
「うちの仲間も盛大にやってくれたみたいだな」
「連れ去るのは簡単だったよ」
にやりと口角をあげる。
逃げられるわけもないのに、振り払おうと抵抗も繰り返す。
うちに帰ってまた構成を考えないといけないな。
冷静にそんなことを考えていた。
「…もういい、離してやれ」
俺の言葉に驚きながらも、大輝を押さえていた3人の組員が大輝から離れる。
「何、逃がしてくれんの?嬉しいなー、さすが昔の仲間────」
「死ね」
大輝がお嬢に向けていたナイフを力任せに振り下ろす。
空間に響き渡る叫び声、苦痛に歪む顔を目の前にしてもなお、気分は晴れない。


