「何が目的だ」
「目的なんてないよ?ただ、組長を殺した男の娘の顔が見たかっただけ」
お嬢に頬ずりしたかと思えば、唇を寄せる。
「汚い手で触れるな」
「いいじゃん、俺、梨瑚ちゃん気に入ったし」
「いい加減に…!」
「それ以上近ずいたら、傷つけるよ」
お嬢の肩を抱く反対の手には、光る刃物が握られていた。
お嬢の喉元に当てる。
「…復讐相手の娘に惚れるなんて、翔平らしくないなー」
「黙れ」
「あ、もしかして復讐心なんて無くなっちゃたの!?あんな事されたのに」
「黙れ!!」
「ねえ、翔平、もう1回、やり直そうよ」
大輝の膝の上で、眠っているお嬢の体には傷のようなものが見えない。
あとは、取り戻すだけ。
「神崎組、やり直そうよ」
「………」
「今の翔平がいれば、白鷺組を潰せる」
「………」
「復讐のチャンスじゃん!!!」
「うるさい」
「一緒に殺そうよ」
「…死ぬのはお前の方だ」


