その奥には、ぎらりと睨みつける鋭い目。


キチッとスーツを着た40代くらいの男の人が立っていた。






「てめー…誰に拳銃向けてんだ!!!」






その人に習うように亮くんもジャケットから拳銃を取り出しむける。


お父さん達がいない時、もしもの時のために渡されているものだろう。


拳銃は見たことがある、だけど、実際に銃口を向けられたのは初めてだった。






「…白鷺梨瑚さんですね」






小さく呟いた声は、確かにわたしの名前を呼んだ。


敬語だったのは意外だったけど。


銃口はしっかりわたしの頭を、鋭い目はわたしを逃がさまいと捉えている。


正直怖い。


だけど。


日本一と言われる白鷺組の組長の娘としてのプライドがあった。


…負けたくない。






「そうだけど、何」






声が震えないように、震えているのがバレないようにわたしは口を開いた。