この状況を楽しんでいるかのような。
嬉しそうな表情の翔平ちゃん。
なんかムカつく。
「ほんとうに」
「…」
「ほんとうに、お綺麗になられましたね」
想像もしてなかった言葉が降ってきた。
心にスっと入ってくる声。
わたしの茶色く長い髪の毛を掬って、自分の方に寄せては。
目を閉じて唇にくっつける。
その行動に、わたしの心臓は痛いくらいに高鳴る。
だめだ。
この人は、わたしが本気で好きなことを知っててこんなことしてるんだ。
それって。
翔平ちゃんも同じ…気持ちなの?
まっすぐ私を見つめる瞳。
聞いてみたい。
ねえ。
「お嬢」
翔平ちゃんは、わたしのこと、すき?
その時。
コンコンと部屋の扉がノックされた。
ピクっと体が反応する。
「はい」
「失礼します、翔平さん組長がお呼びです」
「わかった、すぐ行く」