「ありがとうございました」


「へ?」


「覚えててくれて」


「当たり前だよ」






強い向かい風が吹いた。


せっかく自分でセットした髪の毛が!…なんて考えていた時。


翔平ちゃんが苦しそうな顔をする。


どうしたの、と聞く間もなく。


引き寄せられて翔平ちゃんの胸の中。







「え……翔平ちゃん?」


「絶対守るから」


「うん?」


「絶対…守るから」







腕に力がこもる。







「…傷、見えちゃった?」


「……ごめん」







また言ってるって心の中でため息をつく。


大丈夫だって言ってるのに。


美華さんの時のおでこに付いた傷。