夏に来た時は迷子になってたまたま、たどり着いただけだから道なんて知らない。


翔平ちゃんについて行って歩いて10分。


夏とは違い、花はしおれて緑色の葉っぱだけが見られた。


お墓に近づいて、翔平ちゃんが持っていたタオルを濡らして丁寧に拭いていく。


あっという間に綺麗になったそこに、花束を置いてお線香をあげる。


翔平ちゃんと並んで手を合わせる。


お線香の香りが漂う。


これからは毎年、わたしも一緒に来よう。


翔平ちゃんとこうやって、手を合わせに来よう。






「…行きましょうか」


「うん」






先に立ち上がっていた翔平ちゃんの方を見ると手を差し伸べていた。


その手を握って立ち上がる。