1日だけでいい。
1回だけでいいから。
翔平ちゃんと2人きりで外を歩きたい。
普通の恋人みたいに、歩きたい。
「……わかりました」
「翔平」
「大丈夫です、お嬢は俺が守ります」
お父さんが翔平に少し心配そうな顔を向ける。
当たり前だ。
ついこの前やっと退院したのに。
デートとか言うもののために、娘と組の若頭を危険に晒すなんて。
きっとみんな馬鹿げてるって思ってる。
…わたしだってわかってる。
分かってるからこそ、無理を言った。
翔平ちゃんが死ぬかもしれない、その現実が目の前に来た時。
こうしとけば良かった。
あれもしてれば良かった。
それもしたかったな。
色んなことが頭の中に浮かんできた。