「翔平ちゃーーん!!」
扉をガラッと開けると。
愛しいあの人が目を細めて待っている。
この瞬間をずっと、ずっと待ち焦がれていた。
「梨瑚、ここ病院」
「だって、早く逢いたかったんだもん!」
「いて!痛いから…やめろよ」
ぎゅーって抱き着くと背中が痛むのか、顔を歪める。
わたしは力を抜いて、それでも抱きついていた。
学校帰り、長谷川にお願いしてここ毎日、翔平ちゃんのお見舞いに来ている。
「朝もあっただろ」
「そうだっけ?」
「あほ」
「あ!!あほって言った!?お父さんに言ってやるから」
「なんの事ですか?お嬢」
「うわ、立場悪くなるとすぐ敬語使う」
こうして話できるのがほんとに幸せ…。
翔平ちゃんが目を覚ました朝。
夢なんじゃないかって思ったけど。