「だめだよ」 「どうして」 「ちゃんと、起きて抱き締めて?」 起きて。 起きる。 …起きれるのか? 「やっぱり、翔平ちゃんが居ないと寂しいよ」 「…俺もだ」 「翔平ちゃんが居ないと、生きてたって仕方ない」 「うん…でも、生きて」 「………翔平ちゃん、起きる時間だよ」 ピ…ピ…と電子音。 梨瑚以外の声しかなかったこの空間に、突然聞こえてきた。 「おはよう、翔平ちゃん」 梨瑚の声と同時に、背中に痛みが走った。