俺に手を差し伸べる。
その手を握って、立ち上がる。
小さいけど、確かに温かくて。
……愛しくて。
「梨瑚、俺は」
「ねえ、翔平ちゃん。毎日楽しかったね」
「…え?」
「わたしは翔平ちゃんが小さい頃から居てくれたから、頑張れたんだよ。翔平ちゃんが大好きで、翔平ちゃんには笑ってて欲しかったの」
握られた手に力がこもる。
しょーへーちゃん好きも、しょーへーちゃんと結婚するのも、そういう思いがあって言ってくれたんだ。
梨瑚も、俺と同じくらい前から想っててくれたんだ。
「もう、泣きすぎだよ」
「梨瑚…好き、だ」
「わかってるよー、わたしのこと好きすぎるもんねー翔平ちゃん」
10歳も離れた子に、そんなこと言われるとなんだからムカつくな。
繋いでいない、手を伸ばして梨瑚に触れようとすると拒否するようにその手も握る。


