もっと見つめていたかった。
もっと楽しいことを一緒にしたかった。
もっと傍に居たかった。
もっと触れていたかった。
もっと、もっと、もっと、もっと。
「しょーへーちゃん」
「…どうしました?」
「りこね、しょーへーちゃんすき!」
…ああ。
まだ。
まだ生きていたい。
「翔平ちゃん」
顔を上げる。
腕の中にあった小さな温もりは、いつの間にか影も形もなかった。
変わりに。
高校の制服を着て微笑む梨瑚がいた。
「…梨瑚」
「翔平ちゃんが泣いてるところ、初めて見た」
そう言って、笑う。
最期に逢いに来てくれたんだ。


