夜。
病院の寝巻きに着替えて上からカーディガンを羽織って薄暗い廊下を進む。
今日はいつもより肌寒い。
カーディガン着てきてよかった。
“神崎翔平”
そう書かれた名前の下には赤いプレートに白字で、面会謝絶と書かれていた。
「お疲れ様」
「梨瑚さん、どうぞ」
翔平ちゃんの病室の扉の前には、何かあった時のため、敵対する組の人が狙ってこないように、組員の人が見張っている。
…コンコンっとノックしてみる。
もちろん、返事なんてない。
ゆっくりと部屋に入る。
相変わらず口元には酸素マスク。
だけど、ベッドのすぐ側にある窓から月の光が入り込む。
翔平ちゃんの横顔が照らされる。
綺麗…。
1歩1歩、翔平ちゃんのへと近づいて。
モゾモゾとベッドの中に入り込む。
「…あったかーい……へへ」
仰向けの翔平ちゃんに体を寄せる。


