口元には酸素マスク。
体中にはたくさんの管で繋がれ、ベッドの周りには機械が数字を表示していた。
その数字の意味がわたしにはよく分からないけど、翔平ちゃんがまだ生きていることだけはわかった。
ガラスに手を当てる。
顔や腕、見えるところには傷はなかった。
わたしを守るためにおった傷は、ここからは見えなかった。
「翔平ちゃん…死んだりしないよね」
「大丈夫だ、お前を置いていったりしない。そういう奴だ、翔平は」
わたしの肩に手を置いて、ポンポンと叩く。
お父さんも、みんな寂しがってるよ。
……翔平ちゃん、早く起きて。
それからわたしは毎日、自分の病室から翔平ちゃんをガラス越しに見つめる生活になった。
何時間も、何時間も。
ずっと翔平ちゃんを見つめ続けた。


