どこからがやってきた、女性の救急隊員になだめられながら、ふらつく足で救急車へと乗る。
頭の傷は縫わないといけないと言われ、病院につくなり部分麻酔。
ベッドの上で色んな人の声が遠くに聞こえる。
…翔平ちゃん。
翔平ちゃんは、大丈夫なの?
誰か、教えてよ。
ねえ…誰か。
目を閉じて……目を開けると、お父さんと数人の組員の人。
翔平ちゃんが意識がまだ戻らないこと。
このまま戻らないと危ないこと。
出てくる言葉は全て、わたしを絶望させた。
「翔平のところに行くか」
「……へ…?」
わたしの落胆した様子を見てお父さんが悲しそうな顔で、でも微笑みながら言った。
連れていかれたのは集中治療室。
ガラス越しにしか見ることの出来ない、愛しい人の姿は痛々しかった。


