「あの…わたし」
「逃げるとか無理だから」
美華さんの背後に黒いスーツを着た男の人達。
背筋が凍る。
翔平ちゃんや組員の人達とは違う。
標的はわたし。
…逃げなきゃ。
ここは学校なんだから誰か必ずいるはず。
扉に向けて走り出す。
だけど、教室の前と後ろにある扉はすでに、黒いスーツの人が通れないように立っていた。
「…いや!どいて!!」
「騒がないで、梨瑚ちゃんがいい子にしてくれたら、何も痛いことはしないから」
わたしの頬を撫でる。
気持ち悪い…。
美華さんの手首を掴む。
一瞬、美華さんの顔が歪んだ。
反対側の手を振りかぶって思い切り振り下ろす。
その手がわたしの頬にあたりバチン!という大きな音が響いた。
「…大人しく、付いてきなさい」
「絶対に嫌だ」
「あっそ」