「美華さん……?」
黒いインナーに白いコート、美華さんの細い足のラインが出るスキニーパンツという格好。
ボブの短い髪の毛が彼女によく似合っている。
「…どうして、ここに?」
ここは学校。
どうやって入ってこれたんだろう。
「あー、まあ細かい話は置いといて?…今日はね、梨瑚ちゃんに話があって」
「話?」
「ここじゃなんだから、付いてきてくれる?」
「…あ、はい。でも翔平ちゃんに連絡を」
そう思って、制服のポケットから携帯を取り出す。
ロックを外して、電話マークのアプリをタップする。
ふわっと、携帯が目の前からなくなる。
国木田先生から携帯を没収された時に似てる。
美華さんがわたしの携帯を持って、微笑んでいた。
…不気味でいて、怒っているようだった。