なんか嬉しいなー…。
大事にしてくれてるって言うか。
「……やばいやばい」
にやけている顔を軽く叩いて、日誌に目を向ける。
今日の時間割、授業の内容、欠席した人、遅刻してきた人…。
項目を埋めていく。
一応、日直だから遅くなるとは翔平ちゃんに伝えてあるけど。
急がないと、心配させちゃう。
それに、わたしも早く逢いたい。
そう言えば…最近美華さん、うちに来ないなー…。
なんて、また関係ないことを考えていた。
───────…ガラッ。
教室の扉が開く音。
一瞬、外の冷たい空気が教室に入り込む。
誰だろ…。
先生かな。
振り返ろうとした時。
「…梨瑚ちゃーん」
たった今、考えてた人の声。
甘ったるい、でもどこか艶のある声。