久しぶりにこんなに近くで翔平ちゃんを見るから、ドキドキが止まらない。
うまく…話せない。
「あ…の…」
「時間が無いから、大事なことだけ話す」
「大事なこと……?」
「美華とはなんにも無い、結婚とかなんとか言ってるけど小さい頃によくする約束なだけ」
「…でも美華さん…は」
「美華がなんと言おうと関係ない」
わたしの頭を撫でる。
大きな手から伝わる熱。
「…俺は、梨瑚しか見てない」
「…っ…」
「梨瑚しか、見えてないから」
「…でも翔平ちゃん笑ってた」
「ん?」
「わたしが…うち出ていこうとした時、笑ってたし…私が嫌いっていっても知らんぷりだったし」
ドサッと、目の前には天井。
その後に、翔平ちゃんの顔。
顔の横に両手をつかれて、押し倒されてるんだってわかった。