小さく、そう聞こえた。
亮くんと翔平ちゃんの声。
あ…そっか、今から翔平ちゃんは。
──────…仕事に行くんだ。
ゆっくり、静かに扉が閉まる音。
足音が玄関の方へと遠ざかる。
心臓がドキドキ音を立てる。
わたしに、このままでいいの?と聞いているようだった。
翔平ちゃんがお仕事に行って。
このまま帰ってこなかったら。
わたしは後悔しない…?
…わたしは、笑って生きていける?
わたしは。
わたしは…。
翔平ちゃんが居ないと生きていけない。
急いでベッドから抜け出す。
そこでやっと制服のまま寝ていたことに気づいた。
でも今はそんなことどうでもいいんだ。
どうでもいい。