醜い。
…こんなこと思うわたしが醜い。
「俺が一緒に行きましょうか」
「…いやだ」
亮くんの隣に翔平ちゃんが立って言う。
ふわっと美華さんの香り。
…絶対いやだ。
そんな香りさせて、わたしに触らないで。
「こんな真っ暗な中、1人で行かせられません」
「だとしても翔平ちゃんは嫌だ」
「俺がついて行きたいんです」
「翔平ちゃんは美華さんと一緒にいればいいじゃん…!!」
わたしの言葉に、一瞬。
翔平ちゃんが微笑んだ。
なに…?
なに笑ってるの…。
「梨瑚」
奥からお父さん登場。
わたしの声を聞いて、やってきたんだろう。