ずっとずっと逢いたくて。
待ち焦がれた匂い。
「誰」
「人に名前を聞く時はまずは自分から名乗れ」
顔をあげればそこには。
いつもの翔平ちゃんの顔じゃなかった。
きっとこの顔は仕事中の顔。
この顔好き。
どの顔も好き。
翔平ちゃんなら、なんでも好き。
「翔平ちゃん…!」
朝陽くんの前とかどうでもいい。
誰に見られようとどうでもいい。
翔平ちゃんがここにいる、そのことが嬉しくて。
ぎゅーっと、抱きつく。
翔平ちゃん、翔平ちゃん…翔平ちゃんだ…。
「お嬢、帰りましょうか」
「…うん!」
優しい、いつもの翔平ちゃんの顔。
帰ってきてくれた。
翔平ちゃんがわたしの鞄を持つ。
「梨瑚」
「…へ…」


