「照れてんの?」
体が熱い。
わたし…たぶん、顔赤い。
朝陽くんに見られたくなくて俯く。
「顔上げてよ」
「…やだ」
「なんで」
「恥ずかしい…」
「そんなこと言われると向かせたくなる」
頬に、大きな手が触れる。
だめだ、心臓もたない。
顔を上げる。
真っ直ぐに見つめてくる大きな瞳から目が離せなくなる。
目の前にいるのは制服を着た同い年の朝陽くんなのに。
「……可愛い」
翔平ちゃんのことしか頭にない。
「うちのお嬢に、気安く触るな」
最後の高い位置から機嫌の悪い低い声が聞こえた。
振り返るまもなく遠ざかる頬の感触の代わりに、愛しい匂いに包まれる。


