ドアを開けると、まず飛び込んできたのは、‘ 龍雅 ’という字と、金色の龍が描かれた旗だった。

そして、びっくりした。
まるでリビングみたいな大きくて綺麗な部屋。
下も普通に綺麗だったけれど、格が違う。

黒革のふたりがけの高そうなソファが4つ。
そのうち3つに、それぞれ1人ずつ男のが座っている。

…さっき上からこっそり下を見ていた子たち。

「蓮翔おかえり。…さっき下が騒がしかったのは
、この美少女のせいかな…?」

優しそうで、話かたもお上品。まさに王子様。
ふんわりした笑顔に、ピンクの髪。背はお兄ちゃんより高い。

「おう。おつかれ。こいつ俺の妹。」

「あっ!その子が噂の可愛い妹ちゃん?噂以上の美少女っぷりだね。よろしく!」

ほんとにこの人と初対面だっけ?って思うほどグイグイ来るオレンジ色の髪の子。
思わず、お兄ちゃんの後ろに隠れた。

「かっわいー!」

チャラチャラしてて、きっと女の子の扱いにも慣れているんだろうなと思わせる素振り。
…でも、嫌な感じがしない。きっと、愛されキャラなんだろうなと思った。

「おい、飛羽磨、それ以上美桜に近づいたら殺す。」

「へいへい。あーっこわいこわい!」

ドスッとソファに座る。

「……」

あと1人青色の髪の子がいるけど、ずっとパソコンをいじっている。メガネもかけていて、頭も良さそう。…ただなんとなくだけど、1番怒らせてはいけない人だと本能的に感じ取った。

「あいつは昇矢、んで、オレンジ色が飛羽磨、で、ピンクが大雅な」

「蓮翔お兄ちゃんの妹の、美桜です。よろしくお願いします」

「「「蓮翔…お兄ちゃん……」」」

さっき、見向きもしなかった、昇矢さんまでこっちを見て、3人息ピッタリで、私の方をガン見してくる。

はて?と首を傾げると、

「…あ、美桜ちゃんはピンと来てないかもしれないね…」
大雅くんが苦笑い。

「……」
飛羽磨くんはフリーズ。

「…美桜ちゃん…だっけ?俺らくらいしか、蓮翔のこと、蓮翔って呼び捨てしないし、お兄ちゃんなんて…まぁ、ビックリしてんだよ。」

うんうんと首を縦に振る大雅くんと、飛羽磨くん。

「な…なるほど…」

ん、?てか、お兄ちゃん???

なんて顔してんの…。

目を見開いて、口をあんぐり開けるお兄ちゃん。

「…お、お兄ちゃん?」

「……あ、ごめんごめん。昇矢が女子と話してるの初めて見たから。」

「うっせー」

「しょ、昇矢くん…?大丈夫?顔…赤い気がする…熱…あるんじゃない?」

「美桜ちゃん…まじか。」

「美桜、お前さいこー‪w」

なぜが苦笑いでちょっと引き気味な大雅くんと、飛羽磨くん。

「ま、まぁおいとこ。」

「う、うん。」

次は顔を真っ青にした2人。

後ろを振り返ると…

「手ぇ出したら殺すかんな。」

…なぜがお怒りのお兄ちゃん。

「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて。ここのこととか、今までのこととか話してあげよ…?ね?」

大雅くんナイスフォロー。

ようやく、説明してもらえるんだね。

「美桜、こっち。」

お兄ちゃんのソファと思われる二人がけソファの隣に座る。