「…わかった、ごめんね小春ちゃん。

後日話そう。俺でよければいつでも聞くから。」

「大丈夫ですよ、先輩、頑張ってくださいね!」

私は笑顔で先輩を見送った。


問題は…

「…夕陽…先輩…。」

夕陽先輩はまたも意地悪そうな笑みで

私に話しかける。

「いやぁ嬉しいね?

わざわざコハルチャンから来てくれて。」

「…っ!?違います!!

朝陽先輩が部活に遅れたら困るから…!」

「そーお?まっ、なんでもいいけど♪」

なんなのこの人…!

優しい朝陽先輩と違って意地悪で憎たらしい…。

私の覚悟を返して欲しい。

…頑張って告白しようとしたのに…

「コハルチャーン?

俺の事嫌いって顔に出てるよー?」

「…嫌いですしどうでもいいです。」

「つれないなぁ。

それより、お話しよーぜ?色々。」

「…お話…?」

「コハルチャン、朝陽に告白すんだろ?」

「…」

「ねぇ、コハルチャン。

君、今俺に弱み握られてんだよ。分かる?」

「…別に、どうせ朝陽先輩には告白しますし…。」

「へぇ…?じゃあ全部話す?

俺と朝陽、間違えて告白したって?

好きなヤツも見分けらんねぇって?」

「っ…それは…!」

…それは、やめて欲しい…。

確かに見分けられなかったのは私だけど…。

「なぁ?」

夕陽先輩は私の顎をクイッと上げた。

目が合う。

(…逸らせない…)

そうだ、朝陽先輩と夕陽先輩は双子…

…なんて綺麗な顔立ちなんだろう…。


どんどん体温が上昇するのが分かる。

心臓がドキドキバクバクうるさい。

…朝陽先輩じゃないのに。

意地悪な夕陽先輩なのに。

(心臓の音、きこえちゃいそう…)

やっとの思いで言葉を振り絞る。

「な…なにが目的ですか…」


真っ赤になった顔で睨んでも、

あまり意味は無いだろう。

だが、今できる抵抗はこれくらいしかなかった。


「…なぁ、応援してやろうか?」