「篠田くん、教室にいなかったから、
きっともう帰っちゃってます…」



「いや、帰ってないよ。
アイツならたぶん、視聴覚室で寝てる」




ふ、と楽しそうに笑って言う先輩。



……秋穂も先輩も、私が篠田くんにあげるってこと面白がってない?



それにしても、篠田くんは視聴覚室がお気に入りの寝床なのだろうか?




「早くしないと、
百華と帰っちゃうかもね」



「……あー…そっか。
じゃあ…やめようかな…」



「なんで?
まだ間に合うから。行きな」




立花先輩の声から、絶対行けっていう圧を感じる…。



………



……えぇい!!行きますよ!!




「急ぎます!」



「がんば〜!」




なんでそんなにも、楽しそうなの。



私が篠田くんを好きになったとしても、篠田くんは私を好きになんてならないんだよ。



こうやって、背中を押すようなこと、しないでほしいのに。