部員じゃないからと思って、教室に置いたままだったカバンを取りに2年D組に戻る。
秋穂は部員なので、いつも通り部室に持っていってたから、教室に戻らずに先輩を探すと言っていた。
私もできれば今日渡したいから、
教室に篠田くんがいてくれると嬉しいんだけど、もう帰っちゃってるかもしれない。
教室に着いて、ドアを開けたけど、
篠田くんどころか、教室には誰もいなかった。
……やっぱ、もう帰っちゃったかな。
篠田くん、部活入ってないはずだし。
カバンを持って玄関に向かうと、
立花先輩と秋穂がいて、私に気付いた。
「桃奈ちゃん、仁に渡したの?」
そして立花先輩が嬉しそうにそう言ってきた。
秋穂のおしゃべりめ…。
ジロ、と秋穂の方を睨むと、
舌をペロッと出して「ごめんね」と言ってきた。



