イライラしたようにチッと舌打ちする篠田くんに、私はなにも言うことが出来なかった。
これは、篠田くんと先輩の問題だよね…。
私が聞いても、なにも解決策なんて出せない…。
なのに、
篠田くんはどうしてこの話を、私にしたんだろう？
「……なんて、アンタに聞いてもわかるわけないよな」
「……うん…ごめんなさい」
「謝んなくていい。
つーか、『アンタ』って言うのも悪いな。
名前は？」
篠田くんは本当に知らない、といった様子で、首を傾げて聞いてくる。
クラスメイトの名前くらい覚えといて〜って思うけど、知られてなくてよかったなとも思う。
だって、美月さんの彼氏だよ。
知られてたら絶対なにかツッコまれてたと思う。
「久我です」
「久我、な。
なんか久我と話してると、変な感じ」
