ちょっとでも、隙があってほしい。
百華が絶対に運命の相手だって、簡単に決め付けたくねぇ。
「仁、その絆創膏は百華が?」
「うん。
昼休みに視聴覚室で寝てて、起きたら付いてた。
起こさないように気ぃ遣ったのか、剥がれかけだったけどな」
「……お前、それほんとに百華かわかんねぇじゃん」
「百華だよ。
俺に近付いても平気なのは、百華だけだ。
それに、この絆創膏…
昔助けてくれた時と、同じものだったから」
……変だ。
仁は人の気配に敏感だ。
それこそ、同級生で一番仲がいい秦太でさえ、寝ている仁に近付くなんて出来ないってのに。
顔に貼られてるのに気付かないなんてことあるか?
前に、百華が仁の背後にいた時、
仁は声をかけられる前に気付いていた。
その百華が来ても、起きないことってあるのか…?