「…っ…」




女の子は泣くのを必死に我慢するように、唇を噛んでいた。




「……っ、あ」



「……帰り道はお気をつけて…!」




女の子になにか言えないかと考えていると



女の子は走り去ってしまった。



……バカ、俺。



あの子が、笑顔だったのは…



俺を…不安にさせないためだったんだろう。



血が流れる、俺よりひどい怪我してたのに、



笑顔で、俺を安心させようとしてた…。



痛かったはずなのに。



すごく震えて……怖かったはずなのに。



……俺は…情けない。



プライドばっかり気にして、あの女の子に、お礼1つ言えなかった。



震える女の子を、安心させることも出来なかった。