「怪我してる…。
絆創膏…」
女の子がカバンをあさり、カバンから果物が描かれた缶ケースを取り出した。
その缶ケースから1つ、絆創膏を取り出すと、
俺の頰に手を伸ばした。
「……」
こんなことまで女の子にさせるなんて、
本当に俺は、なんて情けない男なんだろう…。
そのまま動かずに絆創膏を貼ってくれるだろうと待っていたら。
「あれ、ごめんなさい…
上手く貼れない…。
これごとあげますね…!」
女の子の声がわずかに震えて聞こえて。
取り出していた絆創膏をくしゃくしゃにしたかと思うと、
俺の手を掴んで、ピアスと絆創膏が入った缶ケースを無理やり握らせた。
その時……女の子の手がすごく震えていることに気付いて。
それまで逸らしていた目線を、女の子に向けた。



