こちらに振り向いた女の子の額からは、血が流れていた。
「はい、どうぞ」
「……え…」
女の子は、笑顔で俺にピアスを渡した。
……どうして、笑顔でいられるんだ?
血が出てるんだよ。痛いだろ?
放っといてくれれば、しなくて済んだ怪我だよ。
どうして、全く知らない奴のためにそこまでするんだよ…。
「………」
「あの……大丈夫ですか?」
ピアスを受け取らず、黙っている俺に、女の子が首を傾げた。
……女の子に助けてもらうなんて…ダサすぎて目も合わせられない。
ふ、と目を背けた時、女の子が『あ、』と声をあげた。



