仁くんが拗ねたようにそっぽを向く。




「……仁くん」



「……」



「仁くん」




呼びかけてもこっち見ないし、返事もしない。



立花先輩にうっとりなんてしてないのに!



あんなの見せられたらみんなドキドキするでしょ!?そういうことだよ!



私は…仁くんしか見てないのに。



どうしたら機嫌なおしてくれるかなって考えて、



さっき、先輩に教えてもらったことを思い出した。



……えぇい!!やってやるよ!!




人に見られるのはさすがに恥ずかしいので、



仁くんの腕に抱きついて、強引にしゃがませる。




「おい、桃…っ」




みんなには見えないように机に隠れて



仁くんの頰に、ちゅ、と一瞬触れるだけのキスをした。