む、と唇を尖らせてそっぽ向く仁くんに、立花先輩がふっと笑った。
「お前最近まで桃奈ちゃんの名前も知らなかったくせに生意気なこと言ってんじゃねぇよ」
「……そりゃそうだけどさ」
「めんどくせーやつ」
立花先輩が、ちょいちょいと私に手招きして、耳元に唇を寄せた。
「桃奈ちゃん専用の、仁の扱い方…────」
立花先輩がコッソリ教えてくれた言葉に、私はぼぼぼっ、と顔を真っ赤にさせた。
「む、むむむりです…!!」
「今は無理でも、困ったらやる価値あり」
「ちょ、大雅くん、桃奈に何言った?」
「ヤキモチ妬くなよ仁」
「……大雅くん、マジで、なんなんだって!」



