「……っでも、
私、本当はあの時のこと…忘れたかった」
「……怖い思いをしたから？」
「ううん…。
あの男の子を…
篠田くんを助けられなかったから…」
だから好きになってもらう資格なんてない…。
「……助けてもらったよ。
久我がいたから、俺は幸せなんだ。
俺に幸せをくれてるのは、久我なんだ」
「……でも…情けなくて…」
「情けなくなんかない。
……あの時、
久我が俺に絆創膏を握らせた時…
ひどく手が震えていることに気づいて」
「……やっぱり情けなかった…よね」
「そうじゃなくてさ。
それ見た時に、
この子を守れるようになりたいって思ったんだ」
